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2008年8月5日火曜日

創意工夫提案用紙でイベント啓蒙

トヨタ自動車では「よい品よい考」という標語が各所に掲げられていた。
従業員の知恵を製品つくりに活用して、さらなる高品質を実現しようというねらい。
その手段として「創意工夫提案制度」が積極的に展開されていた。
工場には、安全月間とか品質月間とか、いろんなイベントを企画して従業員の意識高揚を図るが、そのつどチラシを作って入門時に配布していた。
チラシというのはすぐごみ箱に行く運命、読んでからなら捨てられてもやむ終えないが、ただのゴミとして取り扱う人も多く見受けた。
そこで、チラシを創意工夫の提案用紙のサイズにして、裏に提案用紙の必要項目を凝縮して印刷した。
品質月間なら「品質に関する創意工夫特別募集提案用紙」にしたてたのでした。
提案件数が大幅に増加し、支払い賞金額がかさんだが、啓蒙したことを行動につなげる有効な手段となったのでした。

かんばん枚数計算尺

トヨタ生産方式のベースとなっている「かんばん方式」による外注部品の増加に伴い、部品の必要数計算の並んでかんばん枚数の計算にも時間を取られるようになってきた。
当時の計算道具は「ソロバン」だが、掛け算や割り算には向かない。
タイガー式計算機という歯車を使った機械もあったが1桁ずつ処理するものでスピードアップは無理。
そこで技術屋が使っていた計算尺に目をつけた。
計算結果は有効数字2桁が求められれば問題なかったからである。
計算尺はカーソルの置き換えが発生するので両手で操作しなければならず、筆記具の持ち替えやペーにめくりなどと絡めて処理スピードを阻害する。
そこで計算尺のメモリを紙の端に移し、さらにその紙を丸めて、円盤の円周上に転写した。
中心点から目盛に線を引き、大きさの違う円満を2枚作って、中心をハトメで止めた。
出来上がったのは円盤式計算尺である。円なのでカーソルを置き換えなくてもつながっていくのです。
片手で操作できる計算尺が出来上がりました。
これは特許物かと思いましたが、後日ドイツ製の腕時計の外周に対数メモリのリングをつけたものをみて、世の中には存在したことを知りましたが。
さらに内側のメモリは決められた定数のメモリだけに整理し、必要数にメモリをあわせれば、その部品の納入条件のマーク上にかんばん必要枚数の答えが出るようにしました。
多分、この部分の事務効率は10倍ぐらいになったのではないかと思います。