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2007年11月7日水曜日

高卒新入社員も一人前

入社1年目、9月に入って、次年度の採用試験が始まり、内定は身元調査をした上で通知されていた。
私は人事部の1員なので、数人の身元調査を割り当てられ、
上司からは、トヨタから身元調査に来たことが解らないように!、と注文された

高卒の私は夏までは学生服と会社の作業服で通勤し、夏はワイシャツなので、まだ背広は作っていなかった。
叔父さんに頼んで背広を借り、受験者の近隣で評判を聞き歩いた。
「あそこの娘さんは、今高校生なので、まだお嫁さんには出さないと思いますよ。」
嫁取りの身元調査と間違えられたりもしました。
ある人は、住所が、企業の社宅になっていた。
管理人に聞けば解るのではないかと尋ねたら、管理人が受験者の親だったことがある、接待を受けてしまった。
上司に言えば叱られると思うが、飛込みで訪れた飾らない本人の家や親を見る方が、近所で聞くよりよほどよく解ると感じた。
考えてみればまだ新入社員の入社教育の最中にさせられた仕事、なのである。
新入社員教育の仕上げは秋に合宿で行われた。真珠湾に特殊潜航艇で突っ込み、幸か不幸か、座礁して太平洋戦争の捕虜第一号になり九軍神に入れなかった酒巻和男さんが面倒をみてくれた。
大卒の入社教育の仕上げには社交ダンスのレッスンが含まれていたが、高卒にはなかった。
酒巻さんと団体交渉して、高卒も、このレッスンに加えてもらえるようになり、以降クリスマスのシーズンになると楽しいダンスパーティーに参加できた。
まだ10代の新入社員を、このように信頼して仕事をさせ現地現物で体験させて育てた人材が、トヨタの成長をさせる大きな要素になったのだろうと思います。